お名前 :下田 祐治さん
生活拠点:秋田県南秋田郡五城目町、埼玉県越谷市
年代 : 70 代
家族構成:ご夫婦
職業 :姉妹都市ちよだ五城目交流館副館長
*デュアルライフとは…生活の拠点を2つもつこと
20年前、姉妹都市の東京千代田区と五城目との間で文化交流の機会があり、千代田区から派遣されたうちの一人が下田さんでした。実際に五城目を訪れてみて、芸術の交流はできましたが、住民と交流するメニューがなかったことは非常に残念に思ったそうです。
五城目の住民の方々と一杯飲んだら、様々な方と知り合うことができたので、退職後、建物を借りることができました。それが「姉妹都市ちよだ五城目交流館」です。築100年の歴史を感じさせつつ、しかしながらきちんと管理されて洗練された古民家です。
下田さんが五城目と埼玉、2拠点での生活を始めたのは2年前。東京の出版関係のデザイン事務所を退職して、デュアルライフを始めた時、五城目への見方が変わったといいます。
「自然に囲まれた環境の中で、明るくなったら起きる。暗くなったら寝る。その人間らしい生活が僕にとって幸せなんだと、こっち(五城目)に来てから気づきました。」と眠らないまち東京で暮していた下田さんは語ります。
取材当日はちょうど「五城目朝市」の日。交流館に伺う前に、取材スタッフも朝市をのぞいてみました。朝市通りには地元の食べ物を売る屋台が並んでいます。男鹿産のなしを3個購入したつもりでしたが、袋をみたら7個入っていました。「おまけ!」と笑顔の素敵なお母さん。我々が通り過ぎてしばらくしてから、息をきらして走ってきて、新米まで頂いてしまいました。下田さんも我々と同じく、買うより多くたくさんの食べ物を朝市でもらってきたそうです。都市部は何をするにもお金がかかりますが、五城目は人の心が中心にまちが動いています。そんな五城目を「人間の原点」と下田さんは表現します。
下田さんは、この交流館に多くの人々を呼び込みたいと考えています。
五城目にお住まいの方々と交流を深めながら、そのための目標もたくさん決めています。例えばその一つに、「2020年に世界から観光客を呼ぶ」というような目標がありますが、すでに、イラク・シリア・インドの方々が訪れたそうです。取材当日には、フランス出身のカメラマンが訪問していました。
五城目にお住まいの方々が主役となり、下田さんがサポートをして、プロジェクトを実行できたことが、下田さんの自信にもつながります。秋田を外からの独自の目線で見つめ、住民の方々との交流の中で、様々なことをおもいきり提案していけるのも、よそ者だからできることではないか、と下田さんは言います。